鈴木こーすけの防災ブログ

防災について考えたことをつづります。

電線からの火花 どうやって防ぐ!?

東日本大震災でもよく使われた想定外という言葉。

今回の台風14号でもまさかこんなことになるなんてという、想定外の事態が多発しているのでないかと思います。

台風14号に関して、このような気になるニュースがありました。

newsdig.tbs.co.jp

 

どうやら台風の影響で電線が切れており、停電を復旧させた後、そこから火花が散っていたようです。

通電火災というと地震で停電した住宅に電気が復旧した際、倒れたストーブや損傷した電気コードに通電し、出火。家人は避難しており、出火に気付かない。そのため火災は拡大していく…。といったパターンが典型ですが、今回のように切れた電線から出火パターンが事実だとすれば、どうやって防げばよいのでしょうか。

先ほど述べた典型的な通電火災は感震ブレーカーや避難時にブレーカーを落とすといったことで防げます。一方で住宅の外で漏電しており、そこから出火となると、個人レベルで防ぐ方法はほとんどないのではないでしょうか。

★★★

また、調べてみると漏電箇所から数十メートル離れた場所から出火に至った事例もありました。↓↓↓

https://www.bousaihaku.com/wp/wp-content/uploads/2020/12/no141_-67p.pdf

/no141_-67p.pdf

このような事例を見ていると、台風で停電した際や自宅付近で漏電が発覚した場合は火災になりえるという想定を頭の片隅においておくことも重要なことでないかと思いました。

災害は起こりうる場所で起きている。

こちらの記事を読むとあらためて災害は起こりうる場所で主に発生しているのだと痛感する。
記事の中で、2004年~2014年に起きた豪雨災害の土砂による犠牲者の87%が土砂災害危険個所の範囲内もしくはその近傍に住んでいた方であることがわかったとある。
2018年岡山県真備町で発生した洪水被害、2020年熊本球磨川流域の氾濫による被害、いずれの被害もハザードマップで予測されていた被害が現実のものとなった。
つまり、思いもしない場所で災害が発生して想像もしていないような被害が発生したというより、
災害が起きると想定されている場所でほぼ想定どおりに災害が発生して、被害がでました。ちなみに過去にも同様の災害がありました。
これが現実なのかと思う。
そして、被災した方々に問題があるというより、これがバイアスの怖さなのだという認識が大事だと思う。
人は忘れるし、くさいものにはフタをするし、めんどくさいことは先延ばしにしてしまう。
その前提にたって防災対策をしないとまた同じような災害を繰り返すのかと思う。

復興とはなにか。

復興とはなにか。
復興ってなんだろうと考えてみた。阪神淡路大震災から完全に復興したとは言えないし、東日本大震災の被災地も同じく復興したとはいいがたい。
じゃあ一体なにがどうなったら復興したといえるのだろうか。
完全にもとの生活状況にもどれば復興したといえるだろうか。
なんとなく違う気がする。
もとの生活といえど住んでいる家は変わってしまって、街並みや住んでいる人も多少変化があって当然だ。なぜなら建物の建築や道路の整備には10年以上の長い歳月が必要だから。
もし災害が発生していなくても10年以上経過すればいろいろと変わる。
そう考えてみると全くもとどおりなんてのは不可能である。
となると復興自体が不可能じゃないか。となる。
じゃあ復興を目指してる被災地はどこを目指しているのか。
毎年のように災害が起きているなか、日本全国どこもかしこも復興途上になりかねない。
復興の定義を見定めることが大事なのではと思う。
そうなると被災時のてんやわんやしてるときに冷静に未来志向の復興計画が立てられないのは歴史が証明している。
となれば、平時からその町の復興の定義を明確にすりあわせておく必要があるのだろう。

防災×エンタメ

高荷智也さんがマツコの知らない世界というTV番組に出演されていた。
そこから感じたことを書いてみる。
まず高荷智也さんとは何者かというと、防災業界では最近一番売れているのではないかと個人的に思っている防災アドバイザーの方で、voicyやyoutubetwitter等、様々なメディアで有益な防災情報を発信しておられる方です。
んで、TV番組の内容については防災とエンタメの掛け算をここまで高いレベルで作り上げたことに感動いたしました。
さずがゴールデンタイムで1時間、防災ネタで番組を作る覚悟があるのにはちゃんと理由があったんですね。
防災というと真面目、小難しい話、キャッチーじゃないというイメージが先行しそうですが、そのイメージを払しょくするあっという間の1時間でした。
一方でここが今後の課題なのかもと感じるところがありました。
それは一般人に受けやすい防災ネタはいずれも極端ってこと。
例えば核シェルターの話とか、放射能汚染された水をろ過できる装置とか、
確かにテレビ受けを狙うとそういった極端なグッズで視聴者の眼をひくことになるのでしょう。
その反面、防災の本質的な話題やネタをテレビでは流しにくいのは事実だなぁと。
防災番組がゴールデンタイムに放送されたのは大きな進歩。
本質的な防災のネタをしっかりとしたエンターテイメントで視聴者に届ける。
次のレベルはこれだなぁと個人的には思いました。

「在宅被災者」と「災害ケースマネジメント」

地震とか水害とか台風による被害で家が壊れたり、流されたり、水没した映像ってテレビで見たことありますよね。
そういった被災されて、家に損害が出た方々がその後どうなったかってあまり見聞きしなくないような気がします。
一次的に仮設住宅に住まわれる方はなんとなく見たことがあるにしても、被災者全員が仮設住宅に住むわけでもない。そして仮設住宅に住んでた人はその後どうなったんだろう。
実は被災した方々の中には住宅に大きな損害を受けたにも関わらず、修理費用がないことや、他に行き場所がないため、そのままつぶれかけの家に住み続けている方々がおられそうです。
そういった方々は「在宅被災者」と呼ばれています。
高齢であること、身寄りがないこと、経済力がない、借金、介護、被災によりケガをした。こういった様々な理由により、在宅被災者の方々は生活の再建が困難となるのです。
そしてその在宅被災者を支えるのが、「災害ケースマネジメント」という支援の仕組みです。
しかし、制度化できているのはごく一部であり、安定した予算のもと多くの方々を支援することは実現できていないのが現状のようです。
毎年、たくさんの被災者が発生する災害大国日本。それに加え、少子高齢化、人口減少、経済的な落ち込みといったマイナス要因がさらに被災者を苦しめます。
被災者を全員残らず助けます!というスタンスで社会が動けていない今、年々在宅被災者は増えていくのでしょう。
被災した住宅をすべて再建することはできないにしても、県営住宅へ優先的に入れるようにするとか、あるいは被災者のための集合住宅を建設するといった、根本治療になりうる政策が必要だと思います。

幼稚園バスの置き去りについて思うこと

静岡・牧之原市で幼稚園バスで園児の置き去り事故があった。

昨年福岡でも同様の事故があったし、なぜこのような事故が頻回に起きるのだろうかと不思議に思う。

これらの事故はいずれも不慮の事故という枠組みにおそらく入ると思われるが、日本では年間約300人の子供(15歳未満)が不慮の事故で亡くなっているそうだ。

大人がしっかりと見てあげないといけない。

気を付けて、しっかり注意して、子供に言い聞かせる。

そんなことはわかりきっているはず。

それにもかかわらず年間300人の子供が不慮の事故で亡くなっている。

これらもバイアスの一種なのだろうか。

まぁ大丈夫だろう。まさかそんなことがおこるはずがない。

そういう心理がこのような最悪の事態を招くのだろう。

韓国では今回と同様の事故が相次いだことからバスのエンジンを切った後、最後部のボタンを押さないと警報が鳴るシステムを導入しているそうだ。

www3.nhk.or.jp

人間はそこまでしないと信用できない。

自分自身も含め、そういうものだという認識をもって対策をするしかない。

 

 

川治プリンスホテル火災

川治プリンスホテル火災とは1980年に栃木県で発生し、死者45人、負傷者22人にのぼる被害を出した火災である。
詳細はwikipediaで確認してほしいのですが↓

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B7%9D%E6%B2%BB%E3%83%97%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%82%B9%E3%83%9B%E3%83%86%E3%83%AB%E7%81%AB%E7%81%BD

要点をまとめるとこんな感じ
①増築に次ぐ増築で迷路のようになっていた。
②非常ベルが鳴った際、点検によるもので異常はないとアナウンスしてしまった。
③防火戸などが整備されていない違法建築であり、煙の周りが早かった。
防火管理者を任命しておらず、避難訓練などもできていなかった。
★★★
防災、防火に対する備えのなさ、考えの浅さが招いた重大な事故であることは間違いない。
そしてこれらの根底にある問題は「まぁ大丈夫だろう」という一種のバイアスにあると思う。
とにかくお客さんを迎える設備を優先して、防火防災はそのあとにしようという先延ばしにする心情があったのではないか。
お客の命を預かる施設の責任者がこのような考えをもってはいけない。
しかしながら、自分自身を鑑みて、そういった気持ちが全くないかというと、どうだろうか。
先延ばしにするようなことは一切完全にない。
と言い切れる人はごく少数なのではないだろうか。
災害はいつなんどき起こるかわからない。そんなことは日本にすんでいる以上知識としてはあるはずだ。
しかしながら消火器、住宅火災警報器、感震ブレーカー、防災リュック、避難時の備えといったものを完璧に自宅に備えている家庭はおそらく少数派だろう。
となるとこれも先延ばしと言える。
つまり、ほとんどの人達が少なからず先延ばしをしてるし、まぁ大丈夫だろうというバイアスにかかっている。
そう考えると今回紹介したホテルの責任者と我々にそこまで大きな違いがあるのだろうか。
いかにバイアスにかからないようにするか。
ここが非常に難しい問題だと思う。
具体的な解決策がないからこそ、これまでにも人は何度もバイアスにかかり、まぁ大丈夫だろうと高をくくって、痛い目に合う。何度も。
さて、どうしたものか。